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茶茶

2026

大山茶藝

改修工事/設計監理

​規模:1階+地下1階   約800㎡

場所:台湾 台北市

用途:商業施設

施工・現地設計協力:琢隱設計

監修:on the trip 成瀬勇輝

デザイン:江連有美

​竣工写真撮影:Ivan Chuang

台北・松山空港から約2kmに位置する大山茶藝の店舗改修.
元々,台湾茶の茶藝体験を中心とした, 両替, 土産物販売,展示,受付など, さまざまな機能がひとつの地下空間に集まるサービスエリアのような約800㎡の店舗であった.

既存の空間では, 多様な機能や商品, 展示がひしめき合い, 茶藝体験がそれらに埋もれてしまう状況だった.

限られたツアー時間の中で, 訪れた人が快適に過ごしながら, お茶そのものだけでなく, その背景にある風景や文化まで感じられる体験をつくることを目指し, 空間全体を大きくつくり変えるのではなく, 山の風景や風, 光, 影, 香りといった感覚的な要素を手がかりに, 茶藝体験へと意識を導く仕掛けを配置した.

山の風景を空間へ

高山茶の産地である阿里山を, 空間の背景としてさまざまな形で取り入れている.

エントランスには, 阿里山の風景写真から抽出した山並みをもとにタペストリーを配置. もともと扇風機が使われていた場所には, その風によってタペストリーがはためくように配置している. 山の形そのものを見せるのではなく, 揺れや影を通して, そこに風景の存在を感じられることを意図した.

階段を下りた展示スペースでは, 既存の展示物を整理し, キャプションを加えながら再配置した. 白く塗装された壁面と展示を整えることで, 茶藝体験へと入っていくための背景を整えている.

YAMANAMI

茶藝体験のカウンターには, 阿里山の等高線をトレースしてつくった棚を設けている.

山の等高線をもとにした棚に, 標高の異なる産地のお茶を並べることで, お茶の味わいの違いを, その土地の高さとともに視覚的にも感じられる場とした.

山の風景を眺めるだけでなく, お茶を選び, 味わう行為を通して, その背景にある土地へと意識が広がっていくことを考えた.

CHABATAKE

白い天幕に包まれた大きなカウンターは, 28人で囲む茶藝体験のための場.

ひとつのテーブルをみんなで囲み, お茶を楽しむ時間そのものが, この場所の風景となるよう, 大きなカウンターを中心に空間を構成した.

間仕切りとして用いたタペストリーは, エアコンの風や人の動きによってわずかに揺れ, タペストリー同士に落ちる影もふわりと変化する. 人や空気の動きによって変化する境界をつくることで, 地下空間の中にも風や光を感じられるようにと考えた.

既存空間をつなぎ直す

改修範囲は部分的なものであったが, 手を入れなかった範囲も照明をすべて更新することで, 店舗全体に統一感を持たせた.

展示空間, 茶藝空間, 商品陳列空間, 執務空間それぞれの用途に合わせて照明を配置し, 既存の空間を活かしながら, 店舗全体の体験をつなぎ直した.

竣工後も, スタッフの方々によって棚の再配置や整理が進められ, 少しずつ空間が更新されている. 設計時に想定した状態で完成するのではなく, 実際に使われる中で場所が育っていくことをとても嬉しく感じている.

台湾での設計

今回の設計では, 現地視察から竣工までの約5か月の間に, 3度台湾を訪れている.

初回は1泊2日の現地視察と茶藝体験. 2回目は2泊3日で, 実施設計の確認, 施主・施工者との打合せ, 追加要望のヒアリング, 家具選定などを行った. 3回目は1泊2日で, 竣工確認と竣工写真の撮影に立ち会った.

当初は日本で家具を製作し, 台湾へ輸送する想定であったが, 現地施工を担う琢隱設計の高さんをご紹介いただき, 細かな調整を行うことができました. 図面を共通言語として施工者とやり取りを重ねることで, 材料や納まりだけでなく, 空間に込めた意図まで共有しながら現場を進められた.

また, 天幕の製作ではフジエテキスタイルにモックアップの調整からご協力いただき, 照明計画ではUNITYの長谷川さんに, 既存部分を含めた店舗全体の照明を検討いただいた. 展示空間のグラフィックデザインは江連さん.

旅の体験をつくるon the tripの成瀬さんに声をかけていただき, 台湾茶の味わいについて江連さんと話しながら, 多くの方と一緒にこの場所をつくることができたこと.

大山茶藝で過ごす時間が, お茶を味わうだけでなく, その背景にある山や土地へと思いを馳せるきっかけとなればと考えている.

2025

スモールポッターハウス

改修工事/設計監理

​規模:木造2階建   63.13㎡

場所:東京都

用途:住宅

​竣工写真撮影:細川葉子

中央線各駅停車駅すぐそばに建つ築45年の木造住宅を,祖母から受け継ぎ孫娘である陶芸家夫婦の住まいとして改修した.建物は,かつての水路を暗渠化した幅2mに満たない私道に面し,長年手が加えられず大きく劣化し,かろうじて建っている状況だった.

当初施主は全面改修には不安を感じている様子であったが,駅近という立地や区の精密耐震診断補助制度の活用をきっかけに,「残す」「活かす」ことへの意識が芽生えていった.

建物は間口3.4m × 奥行9mの細長い形状で,採光や通風が乏しく,特に湿気による1階の劣化が進んでいた.

改修では,まず入口に連続して陶芸の制作スペースを設けた.作業が外部へにじみ出すことで,私道にほどよい賑わいが生まれることを期待している.1階の水まわりは中央に集約し,耐震壁と一体化させながら奥のプライバシーを緩やかに確保.階段を入口付近に移すことで動線を再構成し,光を導き入れた.

2階は耐震壁を設けつつ,勾配天井を連続させた一室空間とし,建具による可変性とプライバシーの確保を両立した.

設計の過程で学生時代にこの住宅にすんでいた母が,この住まいで友人とシェアハウスをしていたこと,バーカウンターを作り楽しく暮らしていた思い出を語ってくれたことが印象的だった.記憶が空間の価値を再構築し,三世代に受け継がれる住まいが,創造の場として再生されていくことを実感している.

2024

住まいの最小単位を重ねて、これからの暮らしを考える

改修工事/基本設計

​規模:RC造5階建(住戸3-5階677.44㎡)

場所:神奈川県

用途:商業施設・共同住宅

共同設計:空間研究所

駅前の商業エリアと住宅街が混じり合い始める位置に建つ,1-2階が店舗,3-5階が女性専用宿舎として使われていた建物の上層階を,賃貸住宅に改修する計画である.​

既存の住戸は,1戸21.17㎡の中に最小限の水まわりと6畳一間を備えた1Kで構成されていた.これを2戸連続させ,駅に近い立地特性や,リモートワーク/SOHOなど職住一体の暮らしにも対応する住戸構成を検討した.

最終的に,4つの異なる住戸タイプを計画している.

BIG KITCHEN

玄関近くに大きなキッチンを配置し,対角線状に配置した居間と緩やかに接続している.視線が対角線上に抜ける構成とすることで,奥行きを感じさせつつプライバシーを確保した.印象的なキッチンを中心に据えることで,比較的短期となる賃貸での生活にも記憶の拠り所となるよう意図した.

BELT

空間全体に3つの高さの異なる帯状の棚をめぐらせ,4つのゾーンに緩やかに分節している.棚は視線や風の抜けを調整する役割,デスクやカウンターとしての役割,同時に猫の動線としても機能する.ペットとの暮らしも視野に入れた住戸である.

TERRACE

L字型の開放的な土間と縁側が,個室を囲む構成である.玄関付近の土間はSOHO等に対応可能な執務空間としLDKとはクランクさせて空間を緩やかに分節した。内と外の中間領域として,多様な使い方を許容するプランである.

TWINS

中央に水まわりを集約し、左右対称に空間を分ける構成 である.可動式収納を2箇所設け,住まい手が用途に応じて空間の性格を調整できるようにした.当初はSOHOと居住空間を均等に分ける案として検討を始めたが,計画を進める中で,友人との2人暮らしなどにも適した構成であることが明らかになった.

既存のスケールを活かしながら,これからの暮らしの多様性に応える住戸群を構成している.

2023

四方よし角部屋ワンルームマンション

新築工事/基本設計

​規模:RC造12階建 1,593㎡

場所:東京都

用途:共同住宅

共同設計:奥山尚史建築設計事務所

私鉄急行停車駅から徒歩5分程の単身者向けワンルームマンションの計画である.なんでも1つの住戸に賃貸契約で住まい手が決まるまでに,建主会社→販売会社→住戸オーナー→住まい手という手順があり,このマンションはリレーのバトンのように渡されていくらしい.その段階によって,マンションに求める価値基準は異なることが予想される.販売会社までは合理的な価格と性能を求めるであろうし,住戸オーナーは,それに加えた普遍的な価値を求めるだろう.そこで,整形のフロアプランにすべての住戸が「角部屋」となるよう住戸を配置した.

角部屋は,住まいの開放性を確保しつつ,不動産販売/所有者にとって不動産価値を担保する共通解の一つであると考えた.

また,整形のフロアプランに,2パターンx2戸ずつの住戸を配置している.敷地西側は居室形状がL字型,東側は雪だるま型である.どちらも来客時に,ベッドスペースのプライバシーに配慮しつつ,それぞれの生活に合わせた家具配置が可能である.

構造はフラットスラブと逆梁を採用し,天井面に極力梁を出さない計画とした.また、逆梁によって外周部に現れる奥行きの深い腰壁は,適度に外部からのプライバシーを確保しつつ,棚などへの活用を想定している.
売り手/買い手/住まい手/地域にとって,また各フロアの4住戸それぞれにとって四方よしの最適解を探りながら計画した.

​浮遊する都心の高層階に確かな居場所をつくる

家具造作工事

​規模:SRC造マンションの一室 73㎡

場所:東京都

用途:住居

施工:きち

​眼下にビルや高速道路が広がる都心高層マンションの一室の造作家具の計画である.

現調のために何度か通ううちに,無機質にみえる高層マンションにも,共用部の井戸端会議やリモートワークの光景を目にし,当たり前のことではあるが,確かに1つ1つの生活がひしめき合っていることを実感した.施主から,ここで生活することになった偶然を伺い,この場所が確かな居場所となるよう家具を計画した.

都会の風景が広がる窓辺に腰掛けながらパソコン作業ができるベンチ,それと連続したソファ,既存梁型に合わせた飾り棚,キッチンカウンター,ダイニングテーブルを最小限計画した.造作家具はなにかしらの収納スペースを兼ねながら,単調な個室に人とものの居場所を確保しつつ,それらを緩やかにつなげて配置している.

2022

​多様な植物に囲まれた旅の拠点となるキッチン

改修工事/設計監理

​規模:RC造7階建

場所:東京都渋谷区

用途:住居

施工:きち

旅するように仕事をしている施主から,都心に拠点となる住居を大工さんと共に作っていると連絡があった.伺うと,大きな庭を持つマンションの1階で,まさに工事の真っ最中.内装や内外共に多様な植物囲まれる計画,アートワークの展示棚等は決めたものの,キッチンだけがなかなか思い描くものにならなくて,という相談であった.旅から戻る束の間に,料理にも造詣の深い施主と家族が,あたたかな時間が過ごせるようにキッチンと収納,ダイニングテーブルを考えた.キッチンや収納のモジュールにはIKEAの既製品を用いつつ,ルーバーや扉の仕上げ,天板を造作とし,やわらかな印象のキッチンに仕上げた.また,キッチンカウンターを庭に向かった方向に沿わせて,自然と視線が庭側に向く配置計画としている.

後日,施主の厚意で,旅先で収穫した筍と庭先でとれたハーブティーを振舞っていただいた.旅と拠点の旬をいただき,確かに施主の拠点としてはたらくキッチンに嬉しく,心がふんわりとしたひとときを過ごした.

築50年の木造住宅を写真スタジオ・ギャラリーとして活用する

改修工事/基本設計・実施設計

​規模:木造2階建 92㎡

場所:東京都中野区

用途:写真スタジオ・ギャラリー

構造:MOF

写真家のスタジオ・ギャラリー・作業場として活用するため,古い木造戸建て住宅を改修する計画である.

敷地は、​都心の環状道路​陸橋から回り込んだ袋小路の突き当たりに位置している.近隣は主要道路に面した中高層建築群と袋小路を挟んだ木造住居群に囲われ,密集している.しかし,この敷地の奥は,小さな公園に面していて,道路に面してぽっかりと口をあけている.そのため,混み入った道を曲がり突き当りのこの建物に入ると,奥は明るく,なんだか拍子抜けするような,力が抜けるような不思議な感覚に陥る場所であった.

​その構造を踏襲して,1階入り口付近に,既存の水周り防水ブロック積を生かしたカウンター/キッチンとトイレをまとめて配置し.公園に面した奥側を大きく吹抜けをもったギャラリーとしている.建物の手前側に細かな要素をまとめ,いったん空間を狭めることで,奥/公園側の吹抜けが,より一層,公園に「ぽっかり」口をあけている浮遊感をもつ場になるのではないかと考えた.2階は簡単な作業と写真撮影ができるよう,可能な限り大きな平場を設けている.

既存住宅は築50年の木造住宅かつ瓦屋根で屋根重量が重く,耐震診断の結果は厳しいものであった.そのため,一般的な壁面積の確保,基礎の補修に加えて,既存の小屋組の下に2本x2対の木梁とそれに直行する鉄骨梁,ブレースによる屋根面の構造補強を計画している.これにより,屋根・壁面がしっかりと固定され,スタジオとしての気積が確保された.

健康ランド跡地の集合住宅を考える

新築/TADAMと共同提案

​規模:RC造3階建 432㎡

場所:神奈川県

用途:店舗・集合住宅

健康ランド跡地の活用として,14戸の集合住宅とランドリーを提案した.

敷地はT字路の交差点に位置し不整形でゆったりとしている.元々健康ランドであったことから,地域の人々がふらりと立ち寄れる集合住宅を提案した.
1,2階は敷地の形状に沿わせて2分割し,中央部に集合住宅共用通路,東側に路地を設けた.路地に面した住戸は,小商ができる平面を配置している.3階は道路斜線が2方向からかかるため,セットバックして配置し,広い屋上バルコニーが生まれ,プライバシーを確保している.また,
交差点に面した南西角部分に視認性の高いランドリーを計画した.

住戸面積は30㎡から50㎡とし,在宅ワークや副業など住戸の使い方の多様化が進むこれからの時代を前提とした多様な住まい方に対応する平面計画としている.

2021

規格商品開発を通して暮らしのスタンダードを考える

Wellnesthome社 「よはくの家」商品開発

高松モデルハウス設計監理

​規模:木造2階建  139

場所:香川県高松市

用途:モデルハウス

​写真:SUSUMU TOMIZAWA

高気密・高断熱・適湿度・高耐震性と,住宅性能を追求してきたハウスメーカーの次の一手となる規格商品開発である.​ 

適正な金額で高気密・高断熱の性能を担保するためには、開口面積には制限がある.その中で,屋根勾配を生かした開放的なLDKを標準とし,構造計算上必要となる袖壁/梁壁を設けて一体空間にリズムを与えている.

また,IKEAの既製品モジュールをうまく組み合わせた半造作のキッチン,洗面台,個室収納,玄関収納の仕組みを開発し,各地の施工店で安定した価格と品質で施工が可能なように考えた.

平面計画は,間口2.5軒/3軒の切妻型間取りを9パターンずつ設定し,土地形状にあった運用を目指している.

最後に,運用ルールを作成した.巾木やカウンター天板の厚みの統一,開口部高さの統一,空調吹出口形状のライン化といった,流通材や既製品を活用しながらも,すっきりとまとまった空間とするためのルール.それと共に,玄関収納に洗面を設ける,書斎,外部ベンチ,樹種選定の基準,ターブを活用した外部空間の提案,といった暮らしの風景を広げるようなルールである.特に,コロナ禍におけるリモートワークの場所や帰宅後すぐに手洗いできることの需要があり,住宅に求められる機能の変化を感じる時期であった.

規格住宅はさまざまな地域で異なる設計者/施工店によってつくられていく住宅である,質を担保しながら波及していくこと/これからの暮らしのスタンダードを見据えて設計に組み込むこと,双方を考えながら一つの商品として完成させている.

動画紹介​はこちら

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