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茶茶

2024

住まいの最小単位を重ねて、これからの暮らしを考える

改修工事/基本設計

​規模:RC造5階建(住戸3-5階677.44㎡)

場所:神奈川県

用途:商業施設・共同住宅

共同設計:空間研究所

駅前の商業エリアと住宅街が混じり合い始める位置に建つ,1-2階が店舗,3-5階が女性専用宿舎として使われていた建物の上層階を,賃貸住宅に改修する計画である.​

既存の住戸は,1戸21.17㎡の中に最小限の水まわりと6畳一間を備えた1Kで構成されていた.これを2戸連続させ,駅に近い立地特性や,リモートワーク/SOHOなど職住一体の暮らしにも対応する住戸構成を検討した.

最終的に,4つの異なる住戸タイプを計画している.

BIG KITCHEN

玄関近くに大きなキッチンを配置し,対角線状に配置した居間と緩やかに接続している.視線が対角線上に抜ける構成とすることで,奥行きを感じさせつつプライバシーを確保した.印象的なキッチンを中心に据えることで,比較的短期となる賃貸での生活にも記憶の拠り所となるよう意図した.

BELT

空間全体に3つの高さの異なる帯状の棚をめぐらせ,4つのゾーンに緩やかに分節している.棚は視線や風の抜けを調整する役割,デスクやカウンターとしての役割,同時に猫の動線としても機能する.ペットとの暮らしも視野に入れた住戸である.

TERRACE

L字型の開放的な土間と縁側が,個室を囲む構成である.玄関付近の土間はSOHO等に対応可能な執務空間としLDKとはクランクさせて空間を緩やかに分節した。内と外の中間領域として,多様な使い方を許容するプランである.

TWINS

中央に水まわりを集約し、左右対称に空間を分ける構成 である.可動式収納を2箇所設け,住まい手が用途に応じて空間の性格を調整できるようにした.当初はSOHOと居住空間を均等に分ける案として検討を始めたが,計画を進める中で,友人との2人暮らしなどにも適した構成であることが明らかになった.

既存のスケールを活かしながら,これからの暮らしの多様性に応える住戸群を構成している.

2023

四方よし角部屋ワンルームマンション

新築工事/基本設計

​規模:RC造12階建 1,593㎡

場所:東京都

用途:共同住宅

共同設計:奥山尚史建築設計事務所

私鉄急行停車駅から徒歩5分程の単身者向けワンルームマンションの計画である.なんでも1つの住戸に賃貸契約で住まい手が決まるまでに,建主会社→販売会社→住戸オーナー→住まい手という手順があり,このマンションはリレーのバトンのように渡されていくらしい.その段階によって,マンションに求める価値基準は異なることが予想される.販売会社までは合理的な価格と性能を求めるであろうし,住戸オーナーは,それに加えた普遍的な価値を求めるだろう.そこで,整形のフロアプランにすべての住戸が「角部屋」となるよう住戸を配置した.

角部屋は,住まいの開放性を確保しつつ,不動産販売/所有者にとって不動産価値を担保する共通解の一つであると考えた.

また,整形のフロアプランに,2パターンx2戸ずつの住戸を配置している.敷地西側は居室形状がL字型,東側は雪だるま型である.どちらも来客時に,ベッドスペースのプライバシーに配慮しつつ,それぞれの生活に合わせた家具配置が可能である.

構造はフラットスラブと逆梁を採用し,天井面に極力梁を出さない計画とした.また、逆梁によって外周部に現れる奥行きの深い腰壁は,適度に外部からのプライバシーを確保しつつ,棚などへの活用を想定している.
売り手/買い手/住まい手/地域にとって,また各フロアの4住戸それぞれにとって四方よしの最適解を探りながら計画した.

​浮遊する都心の高層階に確かな居場所をつくる

家具造作工事

​規模:SRC造マンションの一室 73㎡

場所:東京都

用途:住居

施工:きち

​眼下にビルや高速道路が広がる都心高層マンションの一室の造作家具の計画である.

現調のために何度か通ううちに,無機質にみえる高層マンションにも,共用部の井戸端会議やリモートワークの光景を目にし,当たり前のことではあるが,確かに1つ1つの生活がひしめき合っていることを実感した.施主から,ここで生活することになった偶然を伺い,この場所が確かな居場所となるよう家具を計画した.

都会の風景が広がる窓辺に腰掛けながらパソコン作業ができるベンチ,それと連続したソファ,既存梁型に合わせた飾り棚,キッチンカウンター,ダイニングテーブルを最小限計画した.造作家具はなにかしらの収納スペースを兼ねながら,単調な個室に人とものの居場所を確保しつつ,それらを緩やかにつなげて配置している.

2022

​多様な植物に囲まれた旅の拠点となるキッチン

改修工事/設計監理

​規模:RC造7階建

場所:東京都渋谷区

用途:住居

施工:きち

旅するように仕事をしている施主から,都心に拠点となる住居を大工さんと共に作っていると連絡があった.伺うと,大きな庭を持つマンションの1階で,まさに工事の真っ最中.内装や内外共に多様な植物囲まれる計画,アートワークの展示棚等は決めたものの,キッチンだけがなかなか思い描くものにならなくて,という相談であった.旅から戻る束の間に,料理にも造詣の深い施主と家族が,あたたかな時間が過ごせるようにキッチンと収納,ダイニングテーブルを考えた.キッチンや収納のモジュールにはIKEAの既製品を用いつつ,ルーバーや扉の仕上げ,天板を造作とし,やわらかな印象のキッチンに仕上げた.また,キッチンカウンターを庭に向かった方向に沿わせて,自然と視線が庭側に向く配置計画としている.

後日,施主の厚意で,旅先で収穫した筍と庭先でとれたハーブティーを振舞っていただいた.旅と拠点の旬をいただき,確かに施主の拠点としてはたらくキッチンに嬉しく,心がふんわりとしたひとときを過ごした.

築50年の木造住宅を写真スタジオ・ギャラリーとして活用する

改修工事/基本設計・実施設計

​規模:木造2階建 92㎡

場所:東京都中野区

用途:写真スタジオ・ギャラリー

構造:MOF

写真家のスタジオ・ギャラリー・作業場として活用するため,古い木造戸建て住宅を改修する計画である.

敷地は、​都心の環状道路​陸橋から回り込んだ袋小路の突き当たりに位置している.近隣は主要道路に面した中高層建築群と袋小路を挟んだ木造住居群に囲われ,密集している.しかし,この敷地の奥は,小さな公園に面していて,道路に面してぽっかりと口をあけている.そのため,混み入った道を曲がり突き当りのこの建物に入ると,奥は明るく,なんだか拍子抜けするような,力が抜けるような不思議な感覚に陥る場所であった.

​その構造を踏襲して,1階入り口付近に,既存の水周り防水ブロック積を生かしたカウンター/キッチンとトイレをまとめて配置し.公園に面した奥側を大きく吹抜けをもったギャラリーとしている.建物の手前側に細かな要素をまとめ,いったん空間を狭めることで,奥/公園側の吹抜けが,より一層,公園に「ぽっかり」口をあけている浮遊感をもつ場になるのではないかと考えた.2階は簡単な作業と写真撮影ができるよう,可能な限り大きな平場を設けている.

既存住宅は築50年の木造住宅かつ瓦屋根で屋根重量が重く,耐震診断の結果は厳しいものであった.そのため,一般的な壁面積の確保,基礎の補修に加えて,既存の小屋組の下に2本x2対の木梁とそれに直行する鉄骨梁,ブレースによる屋根面の構造補強を計画している.これにより,屋根・壁面がしっかりと固定され,スタジオとしての気積が確保された.

健康ランド跡地の集合住宅を考える

新築/TADAMと共同提案

​規模:RC造3階建 432㎡

場所:神奈川県

用途:店舗・集合住宅

健康ランド跡地の活用として,14戸の集合住宅とランドリーを提案した.

敷地はT字路の交差点に位置し不整形でゆったりとしている.元々健康ランドであったことから,地域の人々がふらりと立ち寄れる集合住宅を提案した.
1,2階は敷地の形状に沿わせて2分割し,中央部に集合住宅共用通路,東側に路地を設けた.路地に面した住戸は,小商ができる平面を配置している.3階は道路斜線が2方向からかかるため,セットバックして配置し,広い屋上バルコニーが生まれ,プライバシーを確保している.また,
交差点に面した南西角部分に視認性の高いランドリーを計画した.

住戸面積は30㎡から50㎡とし,在宅ワークや副業など住戸の使い方の多様化が進むこれからの時代を前提とした多様な住まい方に対応する平面計画としている.

2021

規格商品開発を通して暮らしのスタンダードを考える

Wellnesthome社 「よはくの家」商品開発

高松モデルハウス設計監理

​規模:木造2階建  139

場所:香川県高松市

用途:モデルハウス

​写真:SUSUMU TOMIZAWA

高気密・高断熱・適湿度・高耐震性と,住宅性能を追求してきたハウスメーカーの次の一手となる規格商品開発である.​ 

適正な金額で高気密・高断熱の性能を担保するためには、開口面積には制限がある.その中で,屋根勾配を生かした開放的なLDKを標準とし,構造計算上必要となる袖壁/梁壁を設けて一体空間にリズムを与えている.

また,IKEAの既製品モジュールをうまく組み合わせた半造作のキッチン,洗面台,個室収納,玄関収納の仕組みを開発し,各地の施工店で安定した価格と品質で施工が可能なように考えた.

平面計画は,間口2.5軒/3軒の切妻型間取りを9パターンずつ設定し,土地形状にあった運用を目指している.

最後に,運用ルールを作成した.巾木やカウンター天板の厚みの統一,開口部高さの統一,空調吹出口形状のライン化といった,流通材や既製品を活用しながらも,すっきりとまとまった空間とするためのルール.それと共に,玄関収納に洗面を設ける,書斎,外部ベンチ,樹種選定の基準,ターブを活用した外部空間の提案,といった暮らしの風景を広げるようなルールである.特に,コロナ禍におけるリモートワークの場所や帰宅後すぐに手洗いできることの需要があり,住宅に求められる機能の変化を感じる時期であった.

規格住宅はさまざまな地域で異なる設計者/施工店によってつくられていく住宅である,質を担保しながら波及していくこと/これからの暮らしのスタンダードを見据えて設計に組み込むこと,双方を考えながら一つの商品として完成させている.

動画紹介​はこちら

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